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廃プラスチックは工場でどう再生される?受け入れから出荷までの工程と「良い材料/困る材料」

リサイクル工場の現場では、廃プラスチックをいきなり砕いて終わり!とはなりません。受け入れで「扱えるものなのか」を見極め、選別で材質と異物を整え、洗浄と粉砕で使える形に揃えてから出荷します。

どこかの工程で判断や管理が甘いと、設備停止、歩留まり低下、臭い・異物の残りといった問題が起きやすくなります。この記事では、受け入れから出荷までの流れを実務目線で整理しつつ、現場が歓迎しやすい原料と、扱いにくい原料の特徴もまとめます。

全体像:5工程で品質とコストの輪郭が決まる

工場の流れは、受け入れ・選別・洗浄・粉砕・出荷の5つに分けると見通しがよくなります。工程ごとに目的が違い、前段の状態が後段の負荷にそのまま影響します。まずは「各工程で何を整えているのか」を押さえておきましょう。

工場の役割は「揃えること」:材質のブレを小さくする

再生材として使うには、同じ性質のプラスチックにできるだけ寄せる必要があります。材質が混ざったままだと、溶け方や硬さがばらつき、用途が限られます。そこで工場では、異物を除きながら、材質・色・形状の幅を狭めていきます。

歩留まり(入荷量に対して製品として残る割合)は、原料の汚れや混入物の多さで大きく変わります。捨てる量が増えれば、そのぶん処理コストも上がります。工程を理解しておくと、「どこでロスが増えるのか」「どの条件が品質を崩すのか」の説明が通しやすくなります。

入口で見ておきたい3点:水分・異物・材質

受け入れ直後に把握しておきたいのは、水分、異物、材質の3点です。雨濡れや内容物残りは乾燥負荷を上げ、砂や金属は刃の摩耗や停止要因になります。材質の混在は、選別で取り切れないと再生材側に残り、物性のブレにつながります。

この3点は、目視や簡易サンプルで当たりがつきます。濡れ、臭い、重さの違和感、袋の中の混載など、分かりやすい兆候が多いからです。確認結果を記録しておけば、後日の原因確認や条件整理にも役立ちます。

ロット管理で「問題の切り分け」が早くなる

廃プラスチックは、同じ品名でも状態が揃いにくく、ロット差が出ます。発生元、搬入日、荷姿、写真、簡易所見を紐づけておくと、トラブルが出た際に範囲を絞れます。

保管中の雨濡れや再混合といった二次的な劣化も、品質のばらつきを広げます。区画分けと先入れ先出しを基本に、疑わしいロットは別置きにしておくと、手当てに回れます。受け入れ票に「置き場番号」まで書いておくと、現場の引き継ぎが楽になります。出荷データとセットで残せば、改善の話も前に進みます。

受け入れ・検収:最初の判断が後工程を左右する

受け入れは、処理の可否と条件を決める工程です。ここで無理をすると、選別ラインが止まる、洗浄水が急速に汚れる、乾燥が追いつかない、といった形で跳ね返ります。逆に、入口でルールを整えると、現場の負担の見積もりが立てやすくなります。

搬入時に見るポイント:濡れ、臭い、混載の有無

搬入直後は、荷の状態が最も読み取りやすいタイミングです。濡れた外袋、底に溜まった水、腐敗臭や溶剤臭は、洗浄・乾燥の負荷が高いサインになりがちです。見た目の量に対して重い場合は、砂や水分が多い可能性も考えます。

袋を数点開けて、材質の偏りや異物の種類を確認します。同じ袋に硬質とフィルムが混じる、ラベル付きが多い、土砂が目立つ──こうした特徴は手選別工数や設備負荷に直結します。写真と所見を残しておけば、条件付き受け入れの判断や後日の振り返りが楽になります。

危険物は最優先で排除:電池・ライター・スプレー缶

小型電池、ライター、スプレー缶などは、破砕や圧縮の工程で事故につながるおそれがあります。異物の中でも、最優先で取り除く対象です。搬入時の目視だけでなく、手選別ラインでも重点項目として扱います。

混入が見つかったら、その場で回収し、同じロット内に残っていないか追加確認します。混入が続く場合は、「何を入れてはいけないか」を具体的に掲示し、回収箱の設置や分別手順の見直しを行うほうが効果的です。作業者の注意に頼り切るより、仕組みに落とし込んだほうが再発を抑えやすくなります。

一次保管の工夫:雨濡れと再混合を避ける

受け入れ後の置き方でも状態は変わります。屋外で雨を吸えば含水率が上がり、乾燥工程が苦しくなります。軽いフィルム類は風で飛び、別の山の異物を拾って混ざることもあります。

区画を分け、発生元ごとに山を作り、先入れ先出しを徹底します。混載が疑われるロットは別置きにし、後で追加選別できる余地を残します。屋外保管が避けられない場合は、シート養生に加えて、雨水が溜まらない置き方(傾斜や排水)も合わせて考えます。

選別:異物除去と材質分離で「使える原料」に近づける

選別の目的は、

  • 異物を減らすこと
  • 材質を揃えること

の2つです。

前者が不足すると設備停止や摩耗につながり、後者が不足すると物性や色のばらつきが増えます。設備構成は工場で違いますが、押さえるべき観点は共通です。

粗選別:止まる原因を先に取り除く

粗選別では、袋物を開封してほぐし、大きな異物を取り除きます。鉄は磁選で除去し、木片や石、ロープ類は手選別で拾います。巻き付きや詰まりを起こすものを先に排除できるほど、ラインが落ち着きます。

粗破砕を入れる工場では、ここでも異物が厄介になります。金属が残ると刃を傷め、砂が多いと摩耗が進みます。特にひも・テープ・ネットは刃やシャフトに絡みやすく、停止時間が伸びがちです。見つけた時点で確実に外しておくと、後段のロスを減らせます。

ふるい・風力・比重:サイズと軽重の差を使う

機械選別では、サイズ、軽重、密度の差を利用して分けます。回転ふるいで土砂や小物を落とし、風力でフィルム類と硬質片を分けると、後工程の洗浄や粉砕が安定します。設定(メッシュ、風量など)は原料の状態で最適値が変わるため、現物を見ながらの調整が必要です。

密度差は、洗浄工程の浮沈選別にもつながります。狙う材質に合わせて前処理を整えると分離効率が上がり、再生材のばらつきも抑えやすくなります。選別は単体で完結せず、前後工程とセットで考えるのが現場的です。

分けにくいものが残る:複合材、強い粘着、色の問題

選別を進めるほど、分けにくい材料が目立ってきます。多層フィルムや異種材の貼り合わせは単一材に寄せにくく、結果として品質の幅を広げやすい代表例です。粘着剤の多いラベルも、洗浄や溶融フィルターで詰まりの原因になることがあります。

色の混在は、見た目要件の厳しい用途ほど問題になります。有色が混ざれば再生材の色調が濁り、用途が限定されやすくなります。こうした「最後まで残る要素」は、受け入れ条件でコントロールするほうが現実的です。

洗浄・粉砕・造粒:汚れを落とし、扱いやすい形に整える

洗浄と粉砕は、再生材の使い道を左右する工程です。汚れや臭いが残ると用途が狭まり、粒度や水分が不安定だと成形工程で不良が出やすくなります。必要に応じて造粒まで行い、再生原料として扱いやすい形に仕上げます。

洗浄の焦点:汚れと粘着を落とし、乾燥までつなぐ

湿式洗浄では、破砕しながら表面の汚れを落とし、摩擦洗浄でラベル糊などの付着物を剥がします。油分や食品残渣が多いと洗浄水の負荷が上がり、排水処理の手間も増えます。洗浄を強くするほど良い、という単純な話ではなく、狙う用途に合わせて必要十分に設計します。

浮沈選別を組み合わせれば、密度差で分けられる範囲が広がります。ただし、土砂や微細汚れが多いと水が汚れやすく、分離が不安定になりがちです。すすぎ、脱水、乾燥までの流れで含水率を管理できると、押出や成形でのトラブルを減らしやすくなります。

粉砕で差が出る点:刃・微粉・熱の管理

粉砕は粒度を揃える工程ですが、刃の摩耗が進むと微粉が増え、後工程でダストや目詰まりの原因になります。砂が多い原料は刃を傷めやすく、粒が揃わなくなることがあります。スクリーンの目開きや刃の交換周期は、品質の再現性に関わる管理項目です。

また、摩擦熱が増えると材料が傷み、臭いが強くなる場合があります。冷却や回転条件、集塵などで負荷を抑えます。条件を記録しておけば、異常が起きたときに原因を探しやすく、改善も回しやすくなります。

造粒(ペレット化)は「使う側の要求」で決まる

粉砕フレークのまま出荷する場合もあれば、溶融してペレット化する場合もあります。出荷先が求める荷姿や品質項目で、必要な工程が変わります。造粒を行う場合は、溶融時の異物除去や水分・揮発分の管理が重要になります。

一方で、造粒設備を持たない工場でも、フレークの粒度や含水率を揃えることで取引が成立するケースはあります。大切なのは「何を規格にするか」を明確にし、そこで外れやすい要因(粘着、微粉、色の混在など)を前段で減らすことです。

まとめ:工程を追うと「良い材料」の条件がはっきりする

受け入れ・選別・洗浄・粉砕・出荷は、それぞれ目的が違い、前段の状態が次の工程に影響します。だからこそ、入口で水分と危険物を減らし、材質の幅を狭めるほど、現場が回りやすくなります。

良い材料は「単一材に近い」「汚れが少ない」「異物が入りにくい」「ロットが読める」といった特徴を持ちます。逆に、複合材や粘着が強いもの、土砂や油分が多いものは、工程負荷を上げやすい傾向があります。

まずは自社の扱う原料について、受け入れ条件と確認項目を言語化し、現場の判断を揃えるところから始めるのが現実的です。